うみのなみだ

日常+小説ブログです。

ツイッター小説 山手線連作 前半

  • #twnovel 寂しいの。呟いただけなのに世界が終わったような顔してる。いま手を握ってくれたら最高なのに、絶対にそんなことしてくれない。だから好き、だから嫌い。ネオンが明るくて馬鹿みたいに立ちつくしてる新宿東口の夜。「終電だから、じゃあ。おやすみ」また夜が越せないみたい。ばか。
  • #twnovel さよならを言いに行ったのにな。と反省しながら品川駅の改札を出た。通勤に似合わないボストンバックを、コインロッカーに入れるか迷う。いいや、何か言われても。週末の予定をでっちあげることなんかもう慣れっこだ。あくびをかみ殺す。また一週間、伸びきるまで引き延ばす日々か。
  • #twnovel 自分の名前の駅があるのは知っていた。大塚。金曜日の夜、ふいに一駅乗り過ごしてそのホームに立ってみたくなった。終電は大丈夫。ドアが閉まるのを見送って、携帯を取りだす。もうすぐ変わっちゃうから、記念に行ってみるよ。メールで何から伝えたらいいかの解らなくて、少し悩む。
  • #twnovel 秋葉原駅のホームに降りるだけで鼓動が高鳴った。とうとう来たんだ。画面で見たとおりの街並み。隠れるように手にしていた物たちが堂々と並ぶ店舗。音として飛び交う馴染みある言葉。恥ずかしさと感動が混じり合った緊張が駆け抜ける。ああこれで、一人きりでも、もう孤独ではない。
  • #twnovel ホームの向かい側から彼女の家に向かう電車が発車する。代々木駅の朝は殺伐と、整然と人の群れが続く。群れの一員となって行儀良くホームを歩く。目的に向かって真っ直ぐに。アナウンスが黄色い電車の到着を告げる。僕は階段を上るだけ。たとえ飛び乗ったってどこにも辿りつけない。
  • #twnovel 「縞ウサギさんですか」「あはい。里奈さん?」おどおどと私たちは出会った。写真とはまた違う、存在のギャップが甚だしい。本名を教えておいてよかったと思う。「田町って凄い都会なんだね」「いや、そんなことないです」いつもの調子が出ずに、焦る。まじで泊めてもらっていいの?
  • #twnovel 知らないことは判断できない。午前3時、高田馬場駅を目指してとぼとぼと歩いている。始発まで研究室に寄って、時間をつぶそうか。考えながらも、足は動き続ける。夜の深い町は静かで、昼間とはまるで違う。瞬間的に浮き彫りになった僕らの距離。頷いてるだけじゃ、埋まらない距離。
  • #twnovel 遠くに行きたい。そういった君を僕は連れ出した。上野駅午後八時十二分「とりあえず、青森あたりで良い?」券売機の前で振り返ると、君はふるえながら涙を流す。「そういうことじゃないの」「じゃあ北海道? 大丈夫だよ、三連休だし」「違うの」僕は君が好き、ただそれだけなのに。
  • #twnovel 静恵の希望で巣鴨に出かけた。「じじいとばばあしかいないな」「だからいいんでしょ」そういって静恵は私の手を取る。何年ぶりだろう。乾燥した硬い皮膚の感触。むずむずして、離してしまいたくなる。「今日くらい良いでしょ」先読みされている。いつも、ずっとそうだったけれど。
  • #twnovel 地獄に堕ちる、と思った。このままだと確実に。なのに視界に入るだけで心が支配される。「お疲れさまぁ」甘ったるい声、匂い、笑顔。全身が軽い緊張に晒されながら、心地よさを感じる。これが恋だろう? そして愛になるんだろう? そう、会計を済ます瞬間までが、五反田の天国。